環境循環型まちづくり 神流町
魚や生き物が棲みやすい川が戻った!
コンクリートではなく、伝統的な石積みで
川と人と生き物の共生を実現する町づくり。
神流町は昔は大変にぎわった地域でしたが、特別な産業も残らなかったため、現在では人口も減って高齢化が進行している、典型的な過疎地域です。
しかし、地元の特質を生かしていくつかの他では見られない取組みをしており、 その代表的なものに「石積工法」があります。
川をコンクリートで固めるのではなく、伝統的な「石積工法」によって作り変えるこの工法は、見事に川と川に棲む魚を中心とした生き物の再生に成功しています。
 

■石積工法の実際

石積01
石積02




神流町を流れる神流川は、昔はたくさんあった自然石を人間が持ち出したことやコンクリートで工事したことなど、さまざまな理由から流れが速くなり、淵も瀬もなくなったため魚たちも棲みにくくなっていましたが、伝統的な「石積工法」で川を再生しようという気運が高まり、現在数箇所のポイントで完成し(上記写真は一例)、着実に効果が上がっています。

石積工法とは
「石積工法」は「石丸積工法」ともいい、コンクリートなどを使用せずに石を垂直に積む工法で、水の浄化を助け、微生物をはじめとする川に生息する生き物たちの生態系にとても良い理想的な工法で、石の産地であったこの地域に昔から伝わる伝統的な工法だそうです。

石の役割
護岸工事などで川に石などがなくなると、淵や瀬などの、水の流れの変化するところがなくなります。すると川の流れが速くなり、温まるポイントがないため水温が低いまま流れ、水温に敏感な川魚たちは棲みにくくなります。また、産卵などのさまざまな活動をするところも無くなり、エサもできにくく、ますます棲めなくなっていきます。
さらに、天敵の鳥たち(川鵜など)にも狙われやすくなり、隠れる場所もないため簡単に捕らえられてしまいます。
ところが、川の中に石を効果的に配置することで、淵や瀬が生まれ、淵では水温が上がり水棲生物たちにとってかっこうの活動場所が生まれます。また、天敵の鳥から逃れることも容易になり、さまざまな意味で棲みやすい環境ができます。
ほかにも、水が石の間を抜ける際に浄化が進むというメリットもあるようです。

魚たちの復活
神流川は、昔は鮎釣りで有名だったそうですが近年は鮎をはじめとした魚たちがいなくなり、すっかり下火になっていたそうです。
しかし、石積工法に変えてから着実に魚たちが戻りはじめ、現在ではかなりの魚が釣れるようになり、近隣はもとより遠方からもわざわざ鮎釣りに来る方が増えるほど魚たちが戻ってきました。
また、以前は川鵜たちが食べたい放題だったものが、石のおかげで隠れ場所ができて随分逃げられるようになっていることも増えてきた理由です。

全国でも珍しい淡水の水産コース
神流町の万羽高校には、全国でも珍しい淡水の水産コースがあり、神流川での生態系の変化も細かく調査しているそうです。これらのデータは、川の管理が水棲生物たちへ与える影響を知る上で貴重なものといえるでしょう。

自然に戻す
石積工法は、言ってみれば自然な川の流れを人工的に作る方法と言えるものです。ですので当然さまざまな約束事や気をつけるべき点があり、それらを踏まえて施工をしないと大量の雨が降ったときには土石流で巨石ですら崩れて流れてしまうこともあるそうです。
しかし、組み方の約束事さえしっかり守れば崩れることはなく、川本来の機能を十分に働かせつつ、石が崩れない組み方を実現できるのが石積工法の素晴らしい点だといえます。
瀬割り作業
瀬割り作業

制水工床堀作業
制水工床堀作業


石組み作業

上流制水工完成
上流制水工完成

翌5月の上流制水工付近のウグイ産卵状況
翌5月の上流制水工付近のウグイ産卵状況




■石積工法の視察記録 2009.11月視察ツアー

■ポイントA地点
ダイナミックな人工滝 滝の上部
もともとコンクリートで造ってあった人工滝に、耐久性と景観の良さを持たせるために石積工法が取られています。
とてもダイナミックな景色!
滝の上部の、水が落ちるところ。石の下はコンクリートで、その上に自然な感じでしかも頑強に石が組まれています。


■ポイントB地点
石組みのダム ダムの完成パース
石をキレイに組んで造られた小型のダム。頑丈でしかも機能的な美しさも感じさせてくれます。
他所のようなランダムで自然な感じではなく、石垣のようにキッチリと組む、多少趣きが異なる石積みです。
写真は完成予想パース図のパネル。神流町の特色である恐竜を、石の色を変えて構成してあります。ダム完成時はこの通りに赤味の石を用いて恐竜の形があったそうですが、現在では石の色が皆同じようになってしまい分からなくなっています。


■ポイントC地点
護岸と遊歩道の両立 遊歩道を上からみた写真
川の岸部分(現在はまだ片側のみ)を石積によって造るとともに、それがそのまま遊歩道になっています。(写真は水が少ないため河川内を歩行)
石積のため頑強で、水がどんな強く流れても削れたり崩れたりすることがありません。
上から見た遊歩道部分。粗いながらもしっかりと高さが合わせてあり、自然な雰囲気でしかも歩きやすくなっています。


■ポイントD地点
コンクリート三面張りの河床のみ工事 残された両岸のコンクリート
河床と両岸のいわゆる三面コンクリート張りで造られていた河川を、とりあえず両岸はそのままにして河床だけ石積工法を施した区域です。コンクリートを剥がして石を積めるだけの深さに掘り下げ、段取りを取りながら石を積んだそうです。
川の水は自然な川と同じように様々に変化しながら流れています。
そのまま残されている両岸のコンクリート。河床の石との対比が妙な感じがします。


■ポイントE地点
自然な雰囲気の石積工法 水の流れは全て計算済み
手を加えられていない自然の川のように見えますが、一部の大きい石などをのぞいて全て石積工法によって計画的に石が組まれています。 水の流れもすべて計算されています。方向を変えたり速度を変えたり、淵や瀬、滝を計画的に造ってあります。

自然に造られたような景観 小型の滝の連続
まるで自然のままのような景観。もちろん石積工法によって積まれた石たちです。 魚の溯上のためにもよい小さく連続する滝です。

落差工の上部より人工の魚道をみる 落差工の上部と正面
落差工の上からの写真。右側に以前コンクリートで作られた人工的な溯上用の魚道が見えます。自然的な石積工法とのミスマッチ。 落差工部分。上部はコンクリートのままで、水の落ちる部分に石組をしてあります。




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