入会のご案内
金沢市は、全国でも珍しく公園・学校・街路樹等への農薬の散布を禁止し、剪定や捕殺による病害虫防除に切り替えた先進的な自治体です。
またやむを得ず農薬を使用する際にも農薬の害などへの厳しい監視を課しており、その実践のうえで得られたデータは他の自治体や関係者にとって大変貴重なものとなっています。
当NPOでも、ツアーを組んで金沢市の先進的な取組について研修をさせていただきました。
講演風景

■金沢市の「都市樹林害虫防除実施仕様書」

都市樹木害虫(アメリカシロヒトリ及びチャドクガ)防除実施仕様書

都市樹木害虫(アメリカシロヒトリ及びチャドクガ)(以下「樹木害虫」という。)の防除事業を実施する者は、次の仕様によって、捕殺及び薬剤散布防除業務(以下「防除業務」という。)を行うものとする。

1. 防除区域は、別途に定める地域とする。
2. 防除業者は、防除区域内の住民の安全確保に努めなければならない。
3. 防除業者は、防除業務の際、2名1組で作業を行い、そのうち1名は市から貸与した腕章を着用するとともに、市が発行する指定防除業者作業員証を携帯しなければならない。
4. 防除業務中に、第三者に損害を与えたときは、防除業者の責任において処理しなければならない。
5. 防除業者は、防除業務中、安全管理に努めなければならない。
6. 防除業者は、樹木害虫の早期防除に努めなければならない。
7. 防除業者は、初期段階での樹木害虫防除の徹底を図るため、町会代表者又は施設管理者と協議の上、防除業務のうち、効率的と判断される方法により、防除を実施しなければならない。
8. 防除業者は、町会代表者又は施設管理者に防除業務を希望しない場所及び樹木について、確認をしなければならない。
9. 防除業者は、防除業務の際、町会代表者又は施設管理者の立ち会いを受けなければならない。また、防除業務が完了した後、防除業務時間の確認を受けるとともに、市に防除作業明細表を提出しなければならない。
10. 防除業者は、金沢市都市樹木害虫事業実施要綱に基づき、町会と防除業務について委託契約を締結しなければならない。
11. 防除業務実施に当たっては、常に市並びに町会等と連絡をとり特別の事由の生じたときは市職員の指示に従わなければならない。
12. 防除業者は、この仕様書に定めのない事項について、必要に応じ市と対応を協議することとする。






■当NPOで事前に用意した質問と、いただいた回答です

※回答は青字

質問事項への回答

Ⅰ.行政としての対応とその経過について
1.農薬の使用量削減に取り組むのに到ったきっかけは何か。(農薬の使用量を削減する必要はどこから生じたのか)
2.農薬の使用量の削減は誰が提案したのか。
3.農薬の使用量の削減に取り組むことが採択された理由は何か。
4.農薬の使用量の削減にかかる予算がおりたのはなぜか。
1~4 薬剤の使用が環境へ与える影響に対し、市民の関心が高まり、また、市民団体が市内における農薬散布の中止を要望したこと等により、平成12年度に5名の専門有識者からなる「街路樹等害虫防除の安全性に関する研究会」が設置された。
この研究会の報告書が反映され、平成13年度より、捕殺による害虫防除が実施されることとなった。


5.農薬の使用量の削減を進める際に、薬剤メーカーや害虫駆除業者(造園業者)その他からの反発はあったのか。反発に対してどのように折り合いをつけていったのか。
反発はなかったと聞いているが、捕殺だけ対応するのは難しく、ある程度の散布はやむを得ない等の意見はあったと聞いている。

6.3ヵ年(各年度)の事業活動のおおよその予算・決算と内訳。
               予算額         決算額   
平成16年度   54,110千円     67,718千円
平成17年度   46,749千円     63,683千円
平成18年度   47,913千円     71,824千円

7.この取り組みに関与する地区数・防除業者数・民間団体数、それらの区割り(配置)と総人数。
街路樹以外の市有施設・民有地については、市内70の校下(地区)ごとに66の防除業者を配置している。街路樹については、32のブロックごとに防除業者を配置している。
また、発生状況や防除の取り組み状況を把握するために各校下を巡回し、防除が進んでいない町会へ相談・助言を行う地区防除相談員を55校下(地区)に55人配置している。
この他、校下の街路樹等市有施設について、随時捕殺防除を行う防除協力会が1団体活動中である。

8.害虫防除(薬剤散布)業者の選択方法・基準・単価設定・配置の判断基準・それに伴う問題。
市登録のA・B・Cランクの業者に防除実施の可否を照会し、実施可能と回答があった業者について、地域性、これまでの実績等により各校下(地区)ごとに配置した。
また、害虫多発校下については、校下を2地区に分割し、それぞれに業者を配置している。
単価設定については、労務単価等の積算により毎年設定している。

9.対象緑地面積の変遷。
都市公園の面積
平成15年度 256.7ha
平成16年度 259.1ha
平成17年度 260.8ha
平成18年度 266.3ha

10.薬剤散布への助成制度の内容。
別紙1参照

11.説明会・研修会で使用される資料・時間・頻度。
例年、4月下旬に防除業者・地区防除相談員を対象に当該年度の取り組みについて説明会を開催している。
必要に応じ、11月には7名の委員と事務局による「都市樹木害虫防除検討会」を開催し、次年度以降の対応を検討している。
また、農薬使用に関する庁内連絡会を開催し、保健所、環境保全課等と連携しながら、農薬使用情報の共有化や、農薬の安全で適正な使用方法等について協議している。




Ⅱ.発足後の運営について
1.現段階で、広報活動の結果、農薬の使用量の削減に理解を深め、協力してくれる市民は増えているか。市民からの働きかけとして取り組みが動いたりなどしたことはあるか。
町会班回覧チラシやホームページ・市新聞広報等で発生状況や防除方法等の情報を提供し、自己管理による害虫の早期発見・早期防除の周知を図っている。自己管理による害虫の早期発見・早期防除が浸透してきている一方で、従来のような薬剤の一斉散布を希望する市民が依然として多いのが現状である。
今後も、自己管理による害虫の早期発見・早期防除について、一層の周知活動を行っていきたい。   

2.細かい作業工程が定められているが、それを遵守しない人に対してどのように対応しているか。
不適正な薬剤散布を行った業者に対し、要綱第10条第3項の規定により、散布の中止を命ずることができる。

3.金沢市の取り組みにどのようなNPO・民間団体が関与しているか。 
4.事務局・検討会委員が上記の団体に期待した役割。
3、4 町会連合会、地区防除相談員、防除協力会、造園緑化協会等の団体に、害虫防除事業について、市民への周知、円滑な事業運営等についてご協力をいただいている。

5.どのような方法で組織化・連携したか、実行した役割と成果、その効果判定。
地区防除相談員を町会連合会(校下)単位で配置し、防除が進んでいない町会へ相談・助言を行うことで、町会の防除活動の適正化を図っている。  

6.町会連合会・地区での説明会の内容・頻度・時期・参加人数・反応や理解度。
5~6月に、町会連合会の要望に応じ説明会を開催している。主な参加者は町会長と緑化・美化推進員だが、自己管理による害虫の早期発見・早期防除が浸透してきている一方で、従来のような薬剤の一斉散布を希望する要望も多く寄せられており、防除の基本方針や薬剤散布の注意点について、一層の周知を図っているところである。

7.全戸配布ちらしのレイアウトや発信情報のポイント。
8.ホームページで重要視している発信情報・更新頻度・構成・画面のポイント。
7,8 自己管理による早期発見・早期防除を強調し、害虫の発生時期や被害、防除方法等についてできるだけ詳しく記載するとともに、住宅地等における農薬の使用について国からの通知の要約を掲載し、安全で適正な農薬の使用を周知している。 

9.市民及び関連業者への普及・啓発活動で苦労した点、その対策。
1.の回答参照

10.医療機関紹介基準・配置基準
保健所等と連携を図り、保健指導や医療機関受診のアドバイスを行う。

11.毛虫教育の実際とテキスト・頻度。
現在の所、特に実施していない。    

12.化学物質過敏症に関する調査は行なったのか。
特に実施していない。

13.自主防除協力会とは。会の数の推移。
校下の街路樹等市有施設について、随時捕殺防除を行っている。当初、2団体が発足したが、現在は大浦校下アメリカシロヒトリ防除協力会が活動している。




Ⅲ.技術的な問題について
1.害虫の1化期に主眼を置いた駆除、薬剤散布の際に使用するノズルの指定など、農薬の使用量削減のための細かな技術は、誰が編み出し、どのようにして決定するに到ったのか。
7人の委員で構成される「都市樹木害虫防除検討会」において、当該年度の実績をふまえ、今後の取組の検討を行い、次年度以降の事業に反映させている。

2.害虫駆除の作業の一つ一つに細かい指定がなされており、農薬の使用量削減に取り組む前後で作業の工程がかなり異なると推察されるが、害虫駆除業者がそれを受け入れた理由は何か。
市登録のA・B・Cランクの業者に防除実施の可否を照会し、実施可能と回答があった業者について、業務を委託している。

3.害虫駆除に使用された薬剤が平成16年から18年にかけて増加しているのはなぜか。
害虫による被害が増えているため。

4.3ヵ年の取り組みの中での問題点とそれらの今後の対応・対策について。
1)民有地での高所捕殺作業が困難(高所に関する考え方)
2)民有地での捕殺防除の取り組みがあまり普及していない(マンションでは?)
3)天候や発生状況等により捕殺防除が物理的に十分でない
4)巣網の見落しで捕殺防除不十分(その原因 剪定・刈込に関する考え方)
5)薬剤散布防除に対して一部誤解が生じている(誤解の中身と対応)
平成16年度から3カ年の取り組みにおいて、捕殺防除が手遅れとなり、結果的により多くの薬剤散布を実施しなければならない事例が多く見られたことから、平成19年度より、原則捕殺から、初期防除の徹底を図るため、捕殺又は薬剤散布のうち、効率的と判断される方法により防除を実施している。

5.使用薬剤の種類と量、その選択基準(価格・性分解性・効力)・使用量基準。
農薬取締法の遵守、汎用性(アメシロ及びチャドクガに効果がある)等を総合的に勘案し、トレボン乳剤4,000倍を指定している。

6.散布機材の選択基準と変遷(吟味の結果)。
薬剤散布をする場合は、動力噴霧器による散布は控え、可能な限り肩掛け式噴霧器を使用することとしている。

7.人畜に影響の少ない薬剤の試験的使用について(今まで試したもの、その効果)。
今年度、BT剤の試験的使用を実施している。

8.発生予想の判断基準・成果と対応・専門家への報酬。 
平成9年度よりフェロモントラップによるアメリカシロヒトリの発生予察を行っている。(平成19年度は市内9カ所で実施)
また、今年度より市内2カ所でブラックライトを使用したアメリカシロヒトリ及びチャドクガの発生予察調査を行っている。
  

9.通学時間帯を避けることによって問題は解決するか。
学校周辺、通学路で薬剤散布を実施する場合は、事前周知の徹底を図り、児童(生徒)のいない時間帯に実施している。

10.薬剤必要量の算出方法。  
害虫が発生している枝葉に集中させ、必要最小限の散布を行うこととしている。

11.松くい虫等の防除のための予防散布を行なっているか。
薬剤散布、樹幹注入により松くい虫の予防措置を講じている。

12.害虫の発生を予防するためにとられている方法(刈込⇒剪定・剪定枝の堆肥化等)・実践実例。
害虫が多発する路線のうち、一部路線について、通常冬剪定を夏剪定にしている。

13.飛散が少ない形状の農薬(粒剤・DL)の実際、飛散抑制ノズルについて。
ドリフト低減ノズルについて、造園緑化協会で実証試験中である。

14.防除時間の算出方法(延べ時間?)。
捕殺又は薬剤散布時間の延べ時間を1化期ごとに集計している。

15.散布量の内容(使用薬剤)と算出方法(原液?希釈液)。
トレボン乳剤4,000倍を指定。散布量については、希釈液の量で算出している。

16.一化期・二化期の期間設定の科学的根拠はあるのか。経験によるのか。
これまでの発生実績を元に、1化期(7月末まで)と2化期(9月末まで)の期間を設定している。



金沢市の関係者の皆様、ご回答ありがとうございました。


















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